最終防衛線

愛の狩人と確率時空
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神の手

 ヴァレリオは整備の連中が捌ける頃合いを見計らって格納庫へと赴いた。ヒュー、と煽るように口笛を吹きつつ整備終わりのヴィンセントに詰め寄る。
「シようぜ」
 ヴァレリオの目は期待に満ちていた。
「おたくの相手なんざ持て余すくらいいる癖に」
 ヴィンセントはわざと憎たらしさを含ませて言って見せたが、内心嬉しく思っていた。
「今日はお前とシたいンだよ」
「今日も、の間違いだろ。なんだかんだで毎度ご指名ありがとうございます、ジアコーザ少尉」
 ヴィンセントは大仰に一礼してみせた。もう待てない、と言わんばかりにヴァレリオは格納庫の死角になる場所にヴィンセントを引き連れると即座にカーゴパンツを下着ごと脱いでヴィンセントに自身の陰茎を握らせる。ヴィンセントは馴れた手つきで陰茎を這わせる。長年の整備で硬くなった手が動く度にヴァレリオはぞわっと背を震わせて陰茎を硬くさせる。
「なンつーか、女の手コキよりも、や、女の手コキも悪くねーンだけど、ヴィンセントみてーに整備慣れしてる硬い男の手の方が……もっと気持ちいいンだよなあ……」
「そらァ流石のVGだって女に手コキして貰った回数よりも、自分でシコってる回数のが多い訳だしそれは当然っちゃあ当然じゃねーの?」
「……まあ、な…… でもやっぱ手コキして貰うならおたくがいいンだ」  ヴァレリオはきしし、と笑って見せた。上気した笑顔にヴィンセントは性的興奮を煽られる。
 ヴァレリオはカーゴパンツ越しにヴィンセントの陰茎に触れる。暫く布越しの陰茎を堪能すると、そのまま片手でベルトを外し、ファスナーを下ろし、下着を申し訳程度にずり下ろして陰茎を露わにさせる。ヴァレリオはさらにヴィンセントに近付いて、互いの陰茎を密着させる。
「アンタも待ちきれなさそうだったな」
 ヴィンセントの陰茎に触れるヴァレリオの手は自身の体格を現すが如く大きく骨張っていた。小指からゆっくりと陰茎を握っていくと、徐々にきつめに握りつつ扱いていく。その手管にヴィンセントは喘ぎ声を漏らす。実戦経験豊富な衛士らしくテクニックも備えている。ヴィンセントはそのスキルと話術に心酔していた。
「タリサの不知火の修理箇所確認するだけで疲れちまったからな、あんにゃろー派手にぶっ壊しやがって……
今日は一段と疲れてんだ、一発二発抜かなきゃやってらんねーよ」
「そらァお疲れ様。そんな整備主任のヴィンちゃんにご褒美だ」
 ヴァレリオはヴィンセントにキスを贈った。ヴァレリオには劣るが、ヴィンセントもそこそこの場数は踏んでいるにも関わらず、ヴァレリオの前だといつも生娘のような顔で舌を受け入れる。普段の努力の証である硬い豆だらけの手で自身に触れてくれ、時たま処女面になるヴィンセントをヴァレリオは堪らなく愛おしく感じていた。とろとろと上からも下からも蜜は滴る。
いやらしい唾液がとめどなく分泌され、互いの舌を溶かしていく。時々声にならない声をあげて快楽へ少しずつ開放させていく。互いの陰茎を握り合う手も徐々に加速していく。
「ヴィンセント」
 ヴァレリオは唇を放した。
「どしたよ?」
「一緒に……イきてーンだけど……肩、抱いてていいか?」
「いいぜ。でもまだ誰か残ってるかわかんねーから、あんましでかい声出すなよ?」
「わ、わーってるよ!」
 ヴァレリオはヴィンセントに委ねるように肩を回した。ヴィンセントは互いの陰茎をくっつけたまま陰茎に這わせた手を動かす。
 ヴィンセントは陰茎越しにヴァレリオの血液の昂りを感じて、絶頂まで一気に駆け上がろうとしていた。
「ヴィ、VG……あっ、あっ……っ……イくぅ……!!!!!!」
「ヴィ、ンセン……ッ………………!!!!」
 ヴィンセントもヴァレリオもほぼ同時に達していた。ヴァレリオは自身の喘ぎ声の大きさを気にしていたのかのように自分の手を当てて声を抑え、それを横目でちらっと見ていたヴィンセントがその表情の健気さに興奮して一気に射精に至った。
「……ハァ……ハァ……VG……」
「…………なんだ?」
「もっと……シたい……」
「……俺も……だけど、ここじゃあアレだし、俺の部屋でヤらねぇ?」
「おっいいな! AV観ながらヤろうぜ!」
 ヴィンセントは興奮覚めやらぬまま互いの精液で汚れた手を舐める。ヴァレリオがすかさずヴィンセントの手を自身の方に寄せて指の間から舌で精液を絡めた。ヴィンセントはそれに呼応するように再び自身を擡げ始めさせていた。
夜はまだ始まったばかりである。

【了】

2018/07/29  UP
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