あまりにも寂しくて、いくら殴られてもへらへらと笑うようになってしまった冬西
「よせよ、親友に何するつもりだ。西園寺」
全体重をかけて拳で殴られ、俺は無様に吹っ飛ぶ。ああ、またクリーニング出さねえと、女の前で汚れた制服で立ちたくないしな。痛みよりも先にそんなことばかりが巡る。幾重もの緑糸を纏わせた影が俺の前にゆっくりと近づいてくる。がさつに顎を掴まれ、ぼおっと霞んだままだった焦点を合わせると、親友は悲しそうな眼で俺を見ていた。かと思えば、更に二発、三発と俺の顔を叩いてくる。そんな光景が滑稽に見えて、俺はいつの間にか笑い声を漏らしていた。
「ふふ…… どうした西園寺。俺を殴ったところで薔薇の花嫁がお前の元に戻るわけでもないだろう。ははははは……」
「貴様、何がおかしい? 最近いつもそうだ」
「何が? 俺におかしいところなんてあるわけないだろう?」
「ぼくが昂る度に、貴様は嗤っている」
「……馬鹿を言うな」
「寂しいんじゃないのか?」
「 」
くっくっと相も変わらず笑いが止まらずにいる。だが、そんな真意を見透かされていたような気がして笑い続けていたのも確かだった。いや、お前に俺の何が分かるのか。分かるはずもない。俺の求めるものは、お前が求めるものより遥か彼方にあるものだから。
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2016/03 UP